2004年10月5日、キッド初の専属劇場であり、『東由多加を偲ぶ会』も行われた、東京・渋谷のライブハウス"APIA"で、懐かしい顔ぶれが再び集まり、レコーディングが行われました。キッドブラザース最後のレコーディングは20周年記念公演「夢の湖」ですから、実に十数年ぶり。東さんを見送った2000年からも4年半の月日を経て、今回行われることになったレコーディングは、キッド創設以来、数々の名曲を生み出した下田逸郎さんがプロデュースする新作CDアルバムに収められます。
このアルバムには、東由多加作詞・下田逸郎作曲のキッドブラザース公演で歌われた曲が全14曲収録予定。しかも!なんと、今回のアルバムのために下田さん自らがアレンジを加えた「北北西に進路をとれ」他、生まれ変わったキッドナンバーを下田さんはもちろん、ロック歌手である金子マリさんが歌っています。気になる「北北西に進路をとれ」は、柴田恭兵さんがソロを担当し、「ザ・シティ」にご出演経験がある巻上公一さんを加えた元キッドメンバーがコーラスで参加。「花いちもんめ」は峯のぼるさんのソロです。今回のレコーディングでは、この二曲の収録のために行われました。

レコーディング当日は、キッドの集まりにはつきものの雨。13時からのスタートを前に続々と元キッドメンバーがAPIAに集合しました。残念ながら、今回参加できなかったメンバーも数人いましたが、総勢20名で店内はいっぱい。APIAには、レコーディングスタジオも兼ねた、普段はライブが行われているスペースと、バーカウンターのあるお店スペースが扉で仕切られています。今回、スタジオはレコーディングで使用されるため、それほど広さのないお店スペースに全員が集い、最初に恭兵さんのソロの収録が始まると、ビールの空き缶が次々と重なっていくのでした。「飲まなきゃやれん?!」と言う声が聞こえたような・・・。恭兵さんの収録は、数回テストを繰り返した後、一発ok!と思いきや、恭兵さんのリクエストで更にもう一回。新しいアレンジに懐かしい歌声、力のこもった様子ではなく、とてもナチュラルに、それでいて定めた進路をどこまでも進んでいくようなまっすぐさを感じました。

さて、恭兵さんのレコーディングが終わるといよいよコーラスの収録。スタジオの音声は、お店側のスピーカーからも聞くことができるので、恭兵さんの歌にあわせて確認するように歌声が漏れていました。始めに男女2名ずつ入ってと下田さんから声がかかると皆さんの顔は真剣そのもの。余計にビールが進んだとか進まないとか・・。先陣を切ったのは、男性陣が三浦浩一さん、飯山弘章さんと巻上公一さん。女性陣は、金井美稚子さんと北野由美子さん。恭兵さんの歌声をヘッドホンで聞きながら、コーラス部分に声を重ねます。飯山さんが緊張を和ますように声をかけながら、数回リハーサル。「北北西に進路をとれ〜」というフレーズを8回繰り返し、最後だけ音程を変えなければいけないのですが、歌っているうちに何回繰り返したかわからなくなってしまったり…と、ちょっと苦労しつつも、無事収録。お店スペースで待ちながら聞いていたメンバーからは「飯山さんの声がすごくよく聞こえたよ」という声も。次のグループは、峯のぼるさん、小野剛民さん、佐藤恵美さん、上原千奈美さん、兼松奈美さん。コーラスを入れる部分を入念に確認しながらリハーサル。峯さんが張り切り過ぎて下田さんから「(音が入ってしまうので)足を動かさないで」と注意を受ける一面も。女性陣は、緊張からかやや声が小さい。下田さんからもっとたっぷりと歌ってと指示を受けながらこちらも無事終了。

その後、下田さんが「もうみんな入っちゃおう」と全員がスタジオへ。狭いステージはいっぱいいっぱい。レコーディング前には、記念撮影も行われ、同窓会(?)ムードでした。収録はというと、あっという間に終わりました。あまりにもあっけなく終わってしまって「もう終わり?」と声もチラホラ。下田さんから「あとはおうちで歌って(笑)」との声。

その後、もう一度、恭兵さんのソロの収録がありました。曲の終わりのほうのソロパートだと思われます。下田さんからは「つぶやくように、歌ってくれればいいから」という指示が。恭兵さんは3回録りましたが、3度目は、靴を脱ぎ、裸足でリラックスした状態で歌っていました。でも、終わりのほうの歌詞を少し間違えてしまうハプニングもあり、恭兵さんが「あ、間違えた・・・、気持ちよく歌ってたら、つい・・・(苦笑)」と。チェックのためにスピーカーでテイク3を再生してもらったら、やはり、最後の歌詞をちょっとだけ間違えていた恭兵さん。でも、下田さんのご判断は「うん、間違ってるけど・・・、いいんじゃない?それもおもしろいよ」ということでOKに。目を閉じればホントに星が見えてくるような感じで、こうして、恭兵さんの収録も無事終了しました。

 

 

続いて、女性コーラス2度目の収録。女性陣の人数が少ないので、女性を全部集めての収録になりました。そこへ遅れて登場してきた長戸さんも参加。ソロの収録を終えた恭兵さんに「長戸は裏声で歌います(笑)」と言われ、飯山さんからも「長戸勝子さん登場〜!(笑)」と言われ、「地球儀の太平洋〜♪」あたりを女性陣に混ざってコーラスをした長戸さんでした。

その後に行われたのは、峯さんのソロ「花いちもんめ」の収録。下田さんは、リハーサルから「録っておいて」と指示。まずは一度リハーサル。やはりちょっと緊張気味な峯さんに、下田さんから声がかかる。「うまく歌わなくていいからね」。「おじさんっぽいのがいいんでしょ?」と峯さん。数回歌って収録終了。お店からは「2回目のがよかったよねえ」と皆さん聞き入っていた様子。さて、何回目の収録が採用になるのでしょうか。収録の合間のワンショットは、下田さんが峯さんの緊張をほぐす瞬間。

これで本日すべての収録が終了。「お疲れ様でした〜♪」。峯さんがお店に戻ると拍手拍手で迎えられ、大騒ぎ(笑)。既に皆さん、だいぶいい気分のはず。この後予定されていた二次会の時間までまだ時間があるということで、恒例のサイン帳に皆様からのメッセージをいただきました。たいへん申し訳ないのですが、一足先にお帰りになってしまった佐藤恵美さんからのメッセージをいただけませんでした。それから・・終始自らのムービーでビデオをまわして撮影していた磯部さんからメッセージをもらっていないことに、後で気づきました。磯部さんファンの方、たいへんたいへんごめんなさい。

この度の企画は、キッドブラザース創設期から制作を担当なさっていた久生実子さんと下田さんとの話し合いから始まり、偲ぶ会メンバーであり、6枚組CDアルバム「東京キッドブラザース全漂流記」の企画製作者である井上誠さんが全面協力。発売に関する詳細は、決定次第この場をもって発表させていただきます。下田さんと皆さんの想いがこもった貴重なこの一枚、是非、お楽しみに!

「君の歌が聴こえる」TOPページへ戻る

Copyright(c) 2000-2004 All Right Reserved by ∞ENDLESS∞ KIDBROS.
また、東京キッドブラザース関係の曲・歌詞・セリフ・その他作品に関しては、
それぞれの著作者に著作権が所在しております。