<第一部:黄金バットダイジェスト版>
「北北西に進路をとれ」
「アメリカ アメリカ」
「御詠歌」
「花雪風」
「手紙」
など
<第二部:黄金バット復活版>
妊娠した恋人を捨てたことに対する自責の念から逃れられない青年が、東京から故郷の小さな街に帰ってくる。そこで彼は昔なじみの人々、旧友や紙芝居のおじさんに再会する。いずれも心やさしく、癒されぬ傷をそっとかかえたしがない人々だ。だが青年がようやく舞いもどってきたこの街は、産業開発のために崩壊の日を目前にひかえている。故郷への回帰は、回帰すべき故郷などどこにもないことの確認でしかなかった。街を離れ、バラバラに出発していきながら人々は歌う。「ひとこと、ただひとことだけ、別れの前に言わせて。あなたに、ただあなたにだけ、解る筈の言付け。忘れないで、忘れないで、この街のことを」すでに帰るべき具体物としての街はない。めざすべきおおらかなユートピアもどこにもないにもかかわらず、彼らは内なる「街」、人と人のの結びあいだけは忘れたくないと語りかける。「今さらこんな話、恥ずかしいことだけれど、愛が君に告げる、もどり道しか歩けない」
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