元ボクサーのロニィは小さな街で自分のジムを持ちながら、弟の竜也をチャンピオンにしようと育てていた。街では女たらしでろくでなしと評判のロニィだったが、竜也はそんな兄を人一倍愛し、信頼しきっていた。そこにはそんな二人を慕い、街の暴走族や小説家志望の少女など様々な人たちが出入りしている。ロニィは街を取り仕切るヤクザのボスの奥さんと密会を重ねていたが、それがボスにばれたらしいとの噂が流れ、駆け落ちを余儀無くされる。そのためには大金が必要となり、ロニィ自らボスに竜也の八百長試合を申し出た。「今度の試合は、勉強のためにアウトボクシングに徹するんだ」。そう竜也に指示をするロニィ。まるでそれは愛する弟アベルを裏切り殺し、エデンの東に追いやられてしまうカインのように・・・・。そして迎えた第3日曜日・・・・。ロニィの言いつけ通り、どんなに打たれてもアウトボクシングを続ける竜也。しかし、それを見ていたロニィは居ても立ってもいられず思わず叫んでしまう。「立て、立つんだ!相手をぶちのめしてやれ!」。そんなことをすれば、自分が殺されてしまうと判っていながら・・・・
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