あるミュージカル作品のためにオーディションが行われ、さまざまな人間たちが、会場の「一つの同じドア」からそれぞれの人生を背負って受けに来る。音痴の少女や、サラリーマン、マザー・コンプレックスの学生などが、そのオーディションを通して、音楽とは何か、人生とは何かを考え始める。燃えつきてしまった青春のなかから、必死に「愛」をとりもどそうとしている演出家は、「ミュージカルは素朴な愛のテーマを高らかに讃いあげることだ」と主張する。しかし、ふらりと現れた俳優が、演出家の苦い過去をあばき、「現実のなかで愛を見失いながら、ステージの上だけ、なぜ愛を讃えるのか」と鋭く問いかける。その男によって裏切りにみちた現代の不信の愛の現実のなかで、どのようにして愛を復権することができるかを迫られ、しだいにこのオーディションの会場は社会の縮図のようになっていく。そこへオーディションを受けに来た一人の女優が・・・・・・・・
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