ある冬の夜、町は大雪に埋もれた。降る雪の静けさに耐えかねたよ うにして、様々な人間が、この南洋風のバーにやってくる。アル中の 中年男、暗い陰りのある青年、そして別れ話の内に沈む若い恋人た
ち。彼らは「シンガポール」に閉じこめられてしまった。雪は降りし きる。そして奇妙なパーティが始まった。饒舌な告白。たわいもない いさかい。酒の酔いが広がり、それぞれの客の胸にいくつかの過去
の情景が浮かび上がってくる。若い恋人たちは、二人の美しい思い 出を語る。だが二人は、今、愛を失いかけている。哀しくもない。何か が憎いわけでもない。怒りもなく、どこかに行きたい場所もない。た
だ・・・・この寒い冬から抜け出せたなら・・・・。結婚を前にして揺れ動 く恋人たちに、突如青年が絡み始める。彼は、愛する女の姉を殺した 過去がある。彼はまるで自分の失った愛を取り戻す熱情に駆られた
ように、二人の恋人たちが結ばれることを願う。殺気立つ男と青年。 夜が次第に白み始める。そして男は一つの決着を選んだ。バスケッ トのゴールに、女の投げるボールがゴールしたら、二人は結婚す
る・・・・
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